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共働きでローンを組む場合の「収入合算」の落とし穴
「DINKS」という言葉が広く浸透したことからも分かるように、子供のいない夫婦共働き世帯が1つの生活スタイルとして定着している。少子化を助長する「負」の側面ともいえなくもないが、その一方で、消費行動は旺盛。マイホーム取得にも積極的だ。リクルートが行った「首都圏新築マンション契約者動向調査(2005年)」では、全契約者の25.2%、つまり4世帯に1世帯がDINKSによって占められていることが分かっており、収入源がW(ダブル)のうちに生活の安定を確保しておきたいという心理が見て取れる。その際、DINKSのほとんどが収入合算(夫婦共有名義)をして住宅ローンを組んでいる。共働きなのだから夫婦2人でローンを組み、一緒に返済していくのは自然な発想だが、実は、このことが予期せぬ事態を引き起こしており、「住宅ローン呪縛(じゅばく)」の引き金となっている。そこで、同じ過ちを繰り返さないためにも、収入合算のメリットとデメリット(落とし穴)を改めて確認しておこう。
■借入額の増大や、税制の恩恵を受けることができる
まずは、収入合算のメリットから見てみよう。ご存じのとおり、最大の魅力は「借入額が増やせる」ことだ。たとえば、ご主人の年収が600万円、奥様が400万円とした場合、ご主人単独のローンであれば600万円に対する返済計画しか組めないが、奥様の収入を合算することで1000万円(600万円+400万円)まで引き上げることが可能になる。返済比率25%、金利4%、融資期間35年で住宅ローン(元利均等返済)を組んだとすると、年収600万円では3400万円までしか借りられないが、1000万円になると4500万円まで融資を受けられるようになる。1100万円もの融資額アップが可能になるのだ。
その他、ご主人と奥様それぞれが登記簿(建物部分)の上でも住宅ローン(連帯債務)の上でも名義を持てば、ご夫婦そろって住宅ローン控除の適用を受けることもできる。住宅ローン控除とは、最長10年間、年末ローン残高の一定割合が毎年還付される減税制度である。
■奥様の分まで肩代わりすると、贈与税の恐れあり
色々なマイホームを見学していると理想ばかりが膨らみ、ついつい予算を超えた物件選択をしがちなもの。そこで、所得に比較的余裕のあるDINKS世帯は、収入合算という“魔法の杖”を使い借入額を増やすのだが、簡単にレベルアップ(予算増)が図れる点は魅力的だ。しかし、奥様の産休や退職、さらには、離婚の危機など当初の返済計画が狂いはじめると、魅力であるはずの収入合算が、今度は仇(あだ)となって返ってくる。以下、ありがちな例を紹介しよう。
まず、誰もが陥りやすいのが、奥様の収入が途絶えた場合の対応だ。女性が定年まで働き続けることは(このご時世)考えにくく、いつかは退職する日がくるだろう。その時、収入合算してローンを組んでいる以上、仕事を辞めて収入がなくなっても、奥様の支払い義務までなくなるわけではない。にもかかわらず、以後、ご主人が肩代わりして2人分の返済を始めることは贈与税を課される危険があるのだ。つまり、退職後も名義(持分割合)がそのままであれば、ご主人が奥様の分まで同時に返済することは、ご主人から奥様への贈与とみなされる恐れがあるわけだ。夫婦間における生活費の資金移動と考え、悪びれることもなく無意識に肩代わりしているケースを見かけるが、厳密には課税対象となるので注意が必要だ。
そこで対応策としては、贈与税をきちんと払って共有名義をご主人の単独名義に変更する方法や、ご主人単独での返済余力が十分にあり、しかも金融機関の承諾も得られれば、住宅ローンそのものを借り替えるという方法も考えられる。ご主人単独名義の住宅ローンに“リセット”するのだ。名義のしがらみを解消するには手っ取り早い施策といえる。
■共有名義が財産分与を複雑にさせる
続いて、離婚に直面したケースも無視できなくなってきている。2005年1年間で約26万2000組(1日あたり約720組)が離婚している現状をかんがみれば、うなずけることだろう。本ケースで争点になるのは、共有財産をどのように処分するかだ。たとえば現金であれば簡単に財産分割できるが、「マンションを2つに分けろ」と言ったって物理的に不可能な話。共有名義(収入合算)であることが、トラブルをより複雑にしているわけだ。
そこで、こうした場合には売却して現金化するのがスマートな解決策となる。しかし、購入時期によっては“高値づかみ”してしまい、売りたくても担保割れで思うように売れないこともしばしば。現金化(売却)の道が閉ざされることは珍しくない。そのため、マイホームは売却できずそのままの状態となり、この段階で別途、新たな問題が浮上してくる。「どちらが住み」「誰がローンを返済するか」という問題だ。慰謝料の意味合いも込めて、奥様が自宅の名義を100%引き継ぐ(財産分与される)ことは想定されるが、その際、マイホームは完全に自分(奥様)のものとなっても、ローンが残っていれば残債も同時に引き継がなければならず、通常、返済の義務まで負わされることは注意しなければならないだろう。
離婚時の財産処分は個別的要素が強いため、「この方法がベスト」といった最善策は見つけにくいのだが、いずれにしろマイホームが単独名義であれば、こうした面倒は起こらなかったはず。退職や離婚といった様々なシナリオを描いて資金計画を立てることがいかに重要であるか、実感してもらえれば幸いだ。
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