元銀行マンに直撃!住宅ローン審査の「内情」はこうなっていた(前編)
住宅ローンの審査がどのように行なわれているか、読者の皆さんはご存じだろうか? たとえば「勤続年数3年以上」「年収300万円以上」「返済率25%以内」といった審査基準は誰しも耳にしたことがあるだろうが、こうした融資条件をすべてクリアしても、審査が必ず通るかは確約できないのが現実だ。そこには、審査する側だけしか知り得ない“グレー”の部分が存在するからだ。そこで、元銀行マンの協力の下、3回シリーズでブラックボックス化している住宅ローン審査の内情に迫ってみる■甘い審査が「滞納者」を誕生させている構図が浮き彫りになる
ここ数週間前から「サブプライムローン」という言葉を聞く機会が増えた。経済関連の雑誌やテレビでも取り上げられていたので、ご記憶の方もいらっしゃることだろう。サブプライムローンとは、低所得者を対象とした高金利型住宅ローンの総称。通常の住宅ローン(=プライムローン)が借りられない信用力の低い人のために、融資基準を低くしたローンをイメージするといい。日本では馴染みがないが、海の向こう米国では利用者が急増している。
このサブプライムローン、報道で取り上げられる機会が増えたのは、同国でローンの焦げ付き(滞納)が増加し、景気への悪影響が懸念され始めたことに端を発している。当初の数年間だけは優遇金利で借りられたり、また、同じく利息だけを払えばよかったりする当該ローンは、借りやすい一方で、滞納しやすい側面も持ち合わせているというわけだ。お金の貸し借りの大原則として、融資条件が緩和されれば、その分、融資金利が高くなるのは当然のこと。そこで、焦げ付かないよう金融機関は厳しく審査するのだが、おそらく融資審査が十分でなかったために、多くの滞納者を誕生させてしまったと推測する。
その結果、サブプライムを扱う住宅ローン会社が破たんに追い込まれる可能性まで浮上する始末で、アメリカの住宅ブームにも影を落とすこととなってしまった。甘い融資審査が滞納者を誕生させている構図が浮き彫りになった格好だ。
■主観を伴わない「自動審査」が、住宅ローンにも採用され始める
それだけに、融資する側(金融機関)にとっては貸出審査がとても重要な意味を持つことになる。そこで、日本の銀行はどのようなローン審査をしているのか、ここから本題に入っていこう。
大手信託銀行の在籍経験を持ち、住宅ローン信用保証の実情に詳しい元銀行マンに話を聞いたところ、「自動審査」を活用する割合が増えているという。「ツリー分析」や「回帰分析」といった統計解析を用いた「自動」=「主観を伴わない評価」による審査で融資の可否を判別しているというのだ。米国では“スコアリング”といって、勤務形態や年収などの顧客属性を「点数化」することで、与信判定を定量分析する審査方法が日常的に行なわれている。加点式の評価方法をイメージすると分かりやすいかもしれない。元銀行マンのいう自動審査も意味はほぼ同じ。ローンを借りようとする人の性格や熱意などは考慮せず、顧客属性に応じた過去のデータを統計的かつ機械的に処理することで、デフォルトリスク(滞納する危険性)を判定する方法だ。
しかしこの審査方法、実は、法人向けの事業融資や消費者ローンなどではすでに馴染みのある手法で、日本でも決して目新しいものではない。「オートスコアリング」と呼ばれ、コンピューターに顧客のデータを入力すると、同じ属性を持った人が過去どれくらいの割合で滞納したか、その事故情報を自動検索して審査に役立てるシステムは日本でも利用実績があるのだ。これまで、住宅ローンの審査にはあまり活用されていなかっただけで、ようやく活用され始めただけのことなのだ。
スコアリングが利用されると、審査する人によって審査結果にバラツキが出ず、また、審査期間も短縮されるメリットがある。その上、金融機関の都合や思惑だけで審査を落とされる心配もなくなるため、ローンを借りようとする人にはうれしい変化といえるだろう。すべての金融機関に浸透するには、もうしばらく時間がかかりそうだが、審査の透明性が高まることが期待される。
中編・後編では、さらに踏み込んだローン審査の内情を紹介する。
| <参 考> ツリー分析とは、人が意思決定をする際に将来、予想される不確実性要素を論理的かつ時系列的にツリー状に表記した分析方法のこと。各シナリオに至る割合(生起確率)をもとに評価する手法である。また、回帰分析とは「結果となる数値」と「要因となる数値」の関係を調べ、それぞれの関係を明らかにする統計的手法のこと。二値変数(例えば、好き・嫌い、賛成・反対など)に対する回帰分析がロジスティック回帰分析である。 |
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