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ローンが支払えなくなると、どうなるの?(法的整理編)


ローンが支払えなくなると・月刊住宅ローン  2回に渡り、ローンが支払えなくなるとどうなるか紹介してきた。これまでは、いずれもローンの貸し手側がどのように対応するかを説明してきたが、最終回の今回は滞納者自身の力で救済策を講じられるよう、法的整理についての知識を紹介しよう。平成13年に施行された「個人版民事再生法」について、その制度の仕組みや活用法に言及する。

■公庫の焦げ付き額は、およそ6900億円

 住宅ローンは30年にも及ぶ長期返済となるだけに、途中で返済計画が狂ってくることは十分に想定される。しかし実際、どれくらいの人が滞納しているか?……その全体像は把握できていない。ところが、住宅金融公庫(当時)は政府系金融機関ということもあって焦げ付き金額が公表されており、その額(6カ月以上の延滞債権)は2003年度末の時点で、約6900億円にのぼっていたことが分かっている。宝くじの一等賞金(3億円)に換算すると、2300人分に相当する金額だ。公庫が廃止に追いやられた理由の1つが、ここにあった。

 住宅ローンを滞納するということは、当然、生活費もギリギリのはず。ヤミ金に手を出したり、自己破産の道を選ばざるを得ない人も少なくなかったはずだ。そこで、返済困窮者(多重債務者)の再建を後押しすべく、個人版民事再生法が誕生した。

■最大の特徴は、マイホームを手放さずに済むこと

 個人版民事再生法にはいくつかの特徴があるが、「マイホームを手放さずに済む」ことの魅力は何者にもかえがたい。たとえば自己破産の場合、保有財産はすべて処分されてしまう。当然だが、マイホームも強制売却させられる。ところが、これでは住む場所がなくなってしまい、再建の足かせとなっていた。そこで、同法ではマイホームを手放さずに債務整理できるよう、特則を設けているのが特徴だ。その結果、自宅に住み続けた状態で再生計画の履行が可能になり、債務者保護へとつながっている。以下、具体的にその仕組み(概要)を説明しよう。

□申し立てができる人

1.住宅ローンを除く債務が5000万円以下、かつ、将来において継続的に収入を得る見込みがある人(個人事業者やサラリーマンなど)
2.住宅ローンを除く債務が5000万円以下、かつ、給与などの定期収入がある人(サラリーマンなど)

□効果

・個人再生の申請を行い、裁判所により再生計画が認められると、下表の「最低弁済基準額」以上の金額を原則3年間かけて返済するだけで、以後、“住宅ローン以外の借入金”は残債があっても残りすべてが支払い免除となる。
・債権者は強制執行ができなくなるため、債務者は給与や家財道具などを差し押さえられる心配がなくなる。

 住宅ローンを除いた借入金の総額  最低弁済基準額
 100万円未満  借入金総額の全額
 100万円以上500万円未満  100万円
 500万円以上1500万円未満  借入金総額の20%
 1500万円以上3000万円未満  300万円
 3000万円以上5000万円未満  借入金総額の10%
※(注)申し立て人によっては別途、上表以外の条件が追加される。

<モデルケース>
住宅ローンが2000万円、住宅ローンを除いた借入金が300万円(適用前)あるとすると、3年間かけて最低弁済基準額を分割返済することで、残りはすべて免除される。

  適用前 適用後
1年目
適用後
2年目
適用後
3年目
適用4年目以降
住宅ローン残高 2000万円 2000万円 2000万円 2000万円 2000万円
上記以外の借入金残高 300万円 3年間かけて100万円を返済することで、残り(200万円)は免除される ゼ ロ

□注意点
・会社の倒産あるいはリストラなどで収入が途絶えてしまい、今後も収入の見込みがない人は利用できない。
・再生計画に従った返済をすることで住宅ローン“以外”の借入金が免除されるだけで、住宅ローンそのものが免除されるわけではない。返済期間の延長など、返済計画の緩和はされるものの、住宅ローン自体は存続することを誤解しないようにしたい。あくまで「住宅ローン以外の借入金」と「住宅ローン」の両方を抱える多重債務者のための法律であり、マイホームが強制売却(=抵当権の実行)されずに済むことこそが、本法のメリットである。
・手続きは弁護士などにお願いすることになるため、依頼費用が別途、発生する。


 スペースの関係もあり、基本的な概要しか説明できないが、もしも…の時には役立つことになるだろう。「そういえば、こんな法律があったな」という程度で構わない。頭の片隅にとどめておこう。


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