「住宅ローン実態調査」からローン利用者の実像を探る(金利タイプ編)
時を同じくして、国土交通省と住宅金融支援機構が住宅ローン利用者に関する実態調査を実施、その内容を公表した。今回の調査結果をひと言でまとめると、どちらからもこれまで人気だった「短期固定タイプ」から「長期固定タイプ」へと志向割合が変化している傾向が鮮明になっており、金利上昇リスクを嫌気した心理行動が数字にも表れた格好となっている。不安を排除した資金計画を組みたいとの欲求が表面化したということだ。これから住宅ローンを組もうという方は、以下に紹介する調査結果をもとに、ローン利用者の全体像を把握する材料として活用するといいだろう。■長期固定タイプへの移動が鮮明になる一方、短期固定タイプの人気も健在する
本コラムでは、まず、国交省の「民間住宅ローンの実態に関する調査(平成19年3月実施)」結果から“金利タイプ”の傾向を紹介しよう。初めに、新規貸出額の金利タイプ別割合の推移(図1)から見てみたい。冒頭でも触れたように、平成18年度上期はダントツ人気だった「3年固定特約金利」がそのシェアを縮小させており、代わって「10年固定特約金利」と「全期間固定金利型」が大きく伸びているのが分かる。金融政策が『緩和』から『引き締め』路線へと軸足を移したことで、金利の先高観が台頭。その結果、安全志向をねらうローン利用者が金利変動リスクを避ける方向に動いたのが理由だ。
しかし、“それでも”「3年固定(25%)」+「2年固定(10.9%)」+「変動金利(14.6%)」の合計割合は50.5%、つまり、2人に1人は“今もって”目先の低金利を希望した人達で占められている。このことは同時に、住宅金融公庫が全盛期だった頃のように「何が何でも完全固定金利が最優先」という考え方が時代にそぐわなくなっていることを示唆しているといえる。それだけ、「リスク」に対する考え方(許容度)が大きく変化した証(あかし)とも解せるだろう。
【図1】個人向け住宅ローン 新規貸出額の金利タイプ別割合 (単位:%)
金利タイプ |
平成16年度 |
平成17年度 |
平成18年度上期 |
全期間固定金利型 |
5.1 |
9.7 |
15.1 |
証券化支援ローン |
0.8 |
5.4 |
4.6 |
10年超の固定特約金利 |
1.1 |
1.5 |
2.7 |
10年固定特約金利 |
11.9 |
9.9 |
17.7 |
5年超10年未満特約金利 |
0.6 |
0.9 |
1.6 |
5年固定特約金利 |
9.1 |
9.9 |
8.0 |
3年固定特約金利 |
39.8 |
33.2 |
25.0 |
2年固定特約金利 |
17.9 |
19.1 |
10.9 |
変動金利 |
13.6 |
10.4 |
14.6 |
■借り換えでは、「安定志向」への動きがより鮮明に写し出される
次に、他の住宅ローンからの借り換え(図2)についても見てみよう。こちらは、短期固定特約金利から長期固定特約金利への移動が、新規融資に比べてより鮮明になっており、「3年固定特約金利」離れが進む中、「10年固定特約金利」と「全期間固定金利型」に人気が集まっている。借り換えを希望する人の多くが、金利上昇をリスクヘッジすることを主眼に借り換えているため、このような結果に結びついていると考えられる。返済の安定性を優先したい人にとっては、当然の流れといえるだろう。今後、「金利の低さ」を取るか「返済の安定性」を取るか……どちらが「正解」ということではないので、その人のリスク許容度や適合性に応じて取捨選択することが求められることになりそうだ。
【図2】個人向け住宅ローン 借り換え後の金利タイプ別割合 (単位:%)
金利タイプ |
平成16年度 |
平成17年度 |
平成18年度上期 |
全期間固定金利型 |
1.8 |
12.3 |
20.9 |
10年超の固定特約金利 |
0.5 |
1.7 |
2.5 |
10年固定特約金利 |
19.2 |
10.6 |
27.7 |
5年超10年未満特約金利 |
0.6 |
2.6 |
2.2 |
5年固定特約金利 |
25.2 |
22.5 |
8.6 |
3年固定特約金利 |
36.7 |
34.3 |
25.7 |
2年固定特約金利 |
2.6 |
1.6 |
0.9 |
変動金利 |
13,4 |
14.4 |
11.5 |
次回は、住宅金融支援機構の調査結果をもとに、ローン利用者の実態をより詳しく紹介することにする。
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