住宅ローン
住宅ローン・コミュニティー
h_f
loan_space
新生銀行 住宅ローン

「ゆうちょ銀行」誕生による住宅ローン市場への影響とは?


「ゆうちょ銀行」誕生による住宅ローン市場への影響とは?・月刊住宅ローン  小泉元首相による特殊法人改革から6年。賛否両論の対立を続けながらも今年10月、郵政民営化は結実した。そしてようやく、ゆうちょ銀行が正式稼動し始めることとなった。誕生早々、システムトラブルが発生したり、あるいは、同行を装うホームページが開設されるなど、出だしは順風満帆とは言えなかったが、200兆円もの巨額資産を有する金融機関の誕生で、住宅ローン市場の勢力図が大きく変化することは想像に難しくない。そこで今回、ゆうちょ銀行による住宅ローン市場への影響を洞察してみることにする。

■10月から郵便局は、持ち株会社と4つの事業会社に分社・再編成される
 まずは、民営化によってどう変わったのか? その全体像の確認から始めることにしよう。
05年10月に公布された郵政民営化関連の法律により、03年4月に設立された日本郵政公社は、持ち株会社と4つの事業会社に分社・再編成された。「郵便局株式会社」「郵便事業株式会社」「株式会社ゆうちょ銀行」「株式会社かんぽ生命保険」が、それぞれ各事業会社の中身だ。そして、これら4事業会社を持ち株会社の「日本郵政株式会社」が統括することで、各社の独自性を確保しつつ、グループ全体の利益を念頭に置いた経営が可能となる仕組みになっている。

 民営化したからには、一般企業とも競争しなければならない。それには当然、経営効率やリスク管理といった要素が必要不可欠となる。また、「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命保険」は民営化後、3~4年での株式上場を視野に入れている。事業承継を意識した組織構築が要求されるのだ。そこで、「持ち株会社」という形態を取り入れることで、グループ全体としての総合力を強化。民間企業にも引けを取らない独自経営を実践したい考えだ。利用者の立場からすれば、さらなる金融サービスの向上が期待される。

■既存銀行の対応は冷ややか ゆうちゅ銀の経営計画は前途多難
 さて、こうして“難産”のすえに誕生した日本郵政グループ。その経営計画が気になるところだが、ゆうちょ銀行においてはカードローンや住宅ローンなど、個人向けローン業務への参入が検討されている。報道によると、すでに中堅地方銀行の「スルガ銀行」とは提携の話が進んでおり、来年2008年にも同行の住宅ローン商品を取り次ぐと伝えられている。また、住宅金融支援機構とも同様で、こちらは2009年春頃、フラット35などを取り扱う計画だそうだ。

 しかし、ゆうちょ銀行への理解を示す金融機関は皆無に等しいのが現状だ。スルガ銀行を除いた地銀各行は、“民業圧迫”を理由に対決姿勢(提携拒否)を示している。全国2万4000もの郵便局ネットワークを駆使して対抗されたら、地方銀行はひとたまりもないからだ。また、全国銀行協会および全国地方銀行協会の両会長も、そろってゆうちょ銀の業務拡大に難色を示しており、拡大路線を狙う同行は、民営化早々、難局に直面している。

■共存・共栄? それとも共倒れ?? 岐路に立たされた住宅ローン市場
 となると、気になるのが今後の動向だが、こうした現状を受けて住宅ローン市場はどうなっていくのか?……最後に、ゆうちょ銀行によるローン市場への影響について、想定されるシナリオを展望してみることにする。

 一連のゆうちょ銀行に対する既存民間銀行の対応を見ていると、かつての住宅金融公庫と民間銀行との対立が思い出されてならない。というのも、公庫が全盛期の頃は“二番煎じ”にあまんじていた民間銀行が、公庫の廃止決定とともに勢力を拡大。業界地図が塗り替えられるほど公庫を叩き落した経緯があるからだ。常にライバル視し、敵対心を燃やしていた民間銀行が、特殊法人改革の流れに乗って公庫をけり倒した構図が、まさに今の「対・ゆうちょ銀行」への言動にそっくりなのだ。

 既存民間銀行にとって、ようやく手にした住宅ローン市場でのシェアを奪われることは恐怖以外の何者でもない。それだけ、現在のポジションを固持したい思いが強いのだ。各行が執拗に反発姿勢を貫くのも、まさにこうした理由があるからだ。いい意味で競争してくれれば、利用者にとってはメリットも多い。しかし、“共倒れ”されては、我々消費者への恩恵はなくなってしまう。どちら側に転ぶかは今のところ想像がつかないが、これから住宅ローンを組もうとする人のためにも、悪いシナリオだけは描かないよう切に願うばかりだ。

 競争原理の効果でローン市場が活性化される期待が持てる一方、過度の競争勃発により市場の混乱を招く危険もある今回の民営化騒動。「吉」と出るか「凶」と出るかで、ローン利用者への影響は180度、変わることになる。


前のコラム:ライフステージ別 資金計画の成功ポイント(シニア編)

おすすめリンク